台湾社会における「演歌」とその受容―「演歌」愛好者への調査を通してThe Development and Reception of Japanese Enka Music in Taiwan.-Through Investigation of Enka Fans.

碩士 === 東海大學 === 日本語言文化學系 === 107 === 「演歌」とは、元来演説歌の略であり、明治時代は政府批判を歌にしたものであった。その後1960年代にアメリカからたくさんの音楽が移入してきた。日本のレコード業界は日本の音楽を守るため「演歌」を作った。現在の「演歌」はこの時に作られたものである。戦後、台湾においては国民党政府が国語運動を行ない方言を禁止していたため、レコード業界は日本の曲に台湾語の歌詞を入れたカバー曲を作った。「日歌台唱」のカバー曲は1960年代盛んに作られた。その後、本省人の日本語世代はカラオケができたことによりオリジナルの演歌を歌えるようになり、さらに...

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Bibliographic Details
Main Authors: HUANG,LING-ER, 黃玲娥
Other Authors: 林 珠雪
Format: Others
Language:zh-TW
Published: 2019
Online Access:http://ndltd.ncl.edu.tw/handle/wmpkz3
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spelling ndltd-TW-107THU000790012019-05-16T01:40:44Z http://ndltd.ncl.edu.tw/handle/wmpkz3 台湾社会における「演歌」とその受容―「演歌」愛好者への調査を通してThe Development and Reception of Japanese Enka Music in Taiwan.-Through Investigation of Enka Fans. 「演歌」在台灣的發展與變遷 ―透過「演歌」愛好者的調查 HUANG,LING-ER 黃玲娥 碩士 東海大學 日本語言文化學系 107 「演歌」とは、元来演説歌の略であり、明治時代は政府批判を歌にしたものであった。その後1960年代にアメリカからたくさんの音楽が移入してきた。日本のレコード業界は日本の音楽を守るため「演歌」を作った。現在の「演歌」はこの時に作られたものである。戦後、台湾においては国民党政府が国語運動を行ない方言を禁止していたため、レコード業界は日本の曲に台湾語の歌詞を入れたカバー曲を作った。「日歌台唱」のカバー曲は1960年代盛んに作られた。その後、本省人の日本語世代はカラオケができたことによりオリジナルの演歌を歌えるようになり、さらに近代まで台湾に根付いていくこととなった。 本研究は非日本語世代が「演歌」愛好者になった社会現象を通して、日本語世代と非日本語世代の文化の包摂を考察する。戦後国民党政府の政治面と文化面での差別の下、日本と国民党二つの政府に統治された経験がある本省人の日本語世代は、1987年の戒厳令の解除とともに、台湾人としてのアンデンティティーと自負が生まれてきた。その自負は戦後日本の経済発展の好景気と相まって、同じく差別統治を受けてきたにもかかわらず、国民党政府の腐敗と対照的になった日本統治の廉潔を強調し、日本語世代は日本語教育(日本精神)を受けたからこそ、立派な知識人になれたまで主張している。彼らは「この日本精神は子供にも教えるべきだ。」と語っている。日本語世代の「演歌」愛好者の人々は、「演歌」は日本精神を受け継いでいると述べ、現在の「演歌」は日本語世代の「演歌」愛好者をはじめ、彼らの子供、つまり非日本語世代である子供たちに受け継がれている。 戦後、国民党政府とともに軍人や人民が来てからは、台湾は本省人、外省人、原住民などの民族を区別する多元文化の社会になった。非日本語世代は多元文化の社会における家庭背景で育っており、その背景で生じた文化観がある。本研究は、「演歌」愛好者を調査した結果、それぞれの民族間で日本文化に対する感覚の相違があることを発見した。その相違点は彼らが「演歌」への評価についての差もある。調査によると、それぞれの民族の非日本語世代は、同じ国民党の歴史教育を受けたものの、その中でも「演歌」愛好者は日本文化に対する評価は好ましく、国民党の学校教育を越えて、親からの日本精神を引き継いだことで「演歌」が好きになったということがわかった。 林 珠雪 2019 學位論文 ; thesis 143 zh-TW
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description 碩士 === 東海大學 === 日本語言文化學系 === 107 === 「演歌」とは、元来演説歌の略であり、明治時代は政府批判を歌にしたものであった。その後1960年代にアメリカからたくさんの音楽が移入してきた。日本のレコード業界は日本の音楽を守るため「演歌」を作った。現在の「演歌」はこの時に作られたものである。戦後、台湾においては国民党政府が国語運動を行ない方言を禁止していたため、レコード業界は日本の曲に台湾語の歌詞を入れたカバー曲を作った。「日歌台唱」のカバー曲は1960年代盛んに作られた。その後、本省人の日本語世代はカラオケができたことによりオリジナルの演歌を歌えるようになり、さらに近代まで台湾に根付いていくこととなった。 本研究は非日本語世代が「演歌」愛好者になった社会現象を通して、日本語世代と非日本語世代の文化の包摂を考察する。戦後国民党政府の政治面と文化面での差別の下、日本と国民党二つの政府に統治された経験がある本省人の日本語世代は、1987年の戒厳令の解除とともに、台湾人としてのアンデンティティーと自負が生まれてきた。その自負は戦後日本の経済発展の好景気と相まって、同じく差別統治を受けてきたにもかかわらず、国民党政府の腐敗と対照的になった日本統治の廉潔を強調し、日本語世代は日本語教育(日本精神)を受けたからこそ、立派な知識人になれたまで主張している。彼らは「この日本精神は子供にも教えるべきだ。」と語っている。日本語世代の「演歌」愛好者の人々は、「演歌」は日本精神を受け継いでいると述べ、現在の「演歌」は日本語世代の「演歌」愛好者をはじめ、彼らの子供、つまり非日本語世代である子供たちに受け継がれている。 戦後、国民党政府とともに軍人や人民が来てからは、台湾は本省人、外省人、原住民などの民族を区別する多元文化の社会になった。非日本語世代は多元文化の社会における家庭背景で育っており、その背景で生じた文化観がある。本研究は、「演歌」愛好者を調査した結果、それぞれの民族間で日本文化に対する感覚の相違があることを発見した。その相違点は彼らが「演歌」への評価についての差もある。調査によると、それぞれの民族の非日本語世代は、同じ国民党の歴史教育を受けたものの、その中でも「演歌」愛好者は日本文化に対する評価は好ましく、国民党の学校教育を越えて、親からの日本精神を引き継いだことで「演歌」が好きになったということがわかった。
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